奇形について

・発生頻度

 

日本産婦人科医会の全国調査によると新生児奇形の統計は出生数1000当たりにつき、口蓋裂1、28、唇裂1、27、無脳児1、06、となっていて、合計では1000分娩につき6?7となります。
ダウン症ではこれが約5人で、ここ20年間で増加してきています。

 

・原因

 

さて先天異常の原因をみてみると、染色体や遺伝子関係が20?30%、その他には母体側の要因、感染、薬剤使用による影響がありますが、60から70%は原因が不明となっています。また母体の疾患(風疹、AIDS等のウィルス感染)、糖尿病や放射線被爆、抗生物質、抗悪性腫瘍剤、サリドマイド、ビタミンA誘導体などの物理的要因もあります。

 

・種類

 

母体感染で風疹の場合では白内障、心奇形などの先天異常を引き起こし、サイトロメガウィルスでは小頭症、小眼球症先天異常を引き起こします。また風疹の場合にはその罹患の時期で奇形の種類に違いがでてきます。6から10週にかけて罹患した場合では白内障に、そして6から12週では心奇形、5から19週では聴覚障害や網膜症となります。
母親の年齢とダウン症の発生率を見ると、高齢で初産の場合にダウン症が発生しやすくなっています。20から24歳では1/500の発生率が45から49歳では1/40にもなります。まだダウン症児を出産した母親が再びダウン児を産む場合も多く、20から24歳で1/500で、45から49歳では1/10と推定されています。

 

・遺伝性疾患

 

流産胎児を検査すると高い頻度で奇形が認められます。
染色体異常による自然流産児ではトリソミー流産が胎児全体数の半数にのぼります。
妊娠5週終わりでの流産胎児では5%に染色体異常がみられます。これが12週の終わりでは2、4%、16週のおわりでは1、1%となります。このように流産の時期が早い程染色体異常がみられるのです。
これは細胞の自殺と呼ばれるアポトーシスと考えられます。

 

・妊娠初期における胎児の異常

 

正常な妊娠成立後でも母体が感染や薬剤により何らかの影響を受けて流産する場合と、その後回復して正常分娩になる場合、そして何らかの影響を受けたままで奇形となり分娩に至る場合があります。
また卵子や精子が異常因子を持ったまま妊娠が成立しても、自然評価のアポトーシスなどを受けて流産か異常を持った胎児を分娩ということになります。
このように妊娠初期の胎児の異常は、感受性が高い器官形成の時期に発生するのが殆どです。
また異常を持ったままでの分娩の中には、奇形以外にも器官形成時期を過ぎてから外因の影響で、機能障害や発達遅延としての分娩になることも少なくありません。
流産の原因は母体にあることもありますが、他にも原因があるのでそれを理解する必要があります。

 

・予防

 

奇形を予防するためにはリスクのある薬剤を使用しない事です。特に器官が形成される時期には要注意です。しかし多くの臨床上で問題になっているのは、妊娠に気がつかないで薬を使用した場合です。
さて奇形の予防に役立つのが葉酸です。葉酸を一日0、4mg摂取していると神経管閉鎖障害の発生が減るとされています。しかし過剰摂取は逆に良くないとされています。例えばピタミンAの過剰摂取は心奇形の原因とされています。  
日本食は栄養面のバランスが整っているために、妊娠中にもよい食事とされています。
また葉酸サプリなどで予防すると効果が高いといわれています。

 

・治療

 

治療が可能な奇形の代表には口唇・口蓋裂があります。また食道閉鎖、消化管穿孔、臍帯ヘルニア等の死亡率も30年間で1/3に減っています。最近では分娩前の胎児治療として臍帯の血管を利用する胎児治療も行われています。

 

・出生前診断での問題点

 

妊娠初期の出生前診断の進歩にともない、人工中絶可能な時期での胎児の異常については様々な問題が浮上してきています。
奇形を持つ赤ちゃんとどう向き合うべきかが大きな焦点になっています。というのも子どもの権利を守る考えと、中絶を含む親の選択権というのは両立ができないからです。